◆◇◆3.クラシック音楽予習講座・その3

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http://www.lfj.jp/lfj_2015/
ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン

【第3回 バロック音楽とパシオン】

F.P.Zimmermann - Bach : Chaconne from Partita No.2, BWV1004

お父さんの演奏を見つけました


「パシオン」、それは激しい心の動き。
パシオンと音楽との密接な関係を
さまざまな角度から"予習"してしまうこのコラム、

第3回目は
バロック音楽とパシオンについて
考えてみたいと思います。

前回は、
ルネサンス時代のマドリガーレという世俗音楽において、
喜びや悲しみといった人間の情感が扱われ、
パシオンに満ちた音楽が作られるようになった
というお話でした。

続くバロック時代にもその流れが受け継がれます。

今年の音楽祭のプログラムを眺めると、
ヴィヴァルディ、ヘンデル、スカルラッティ、
そして特にJ. S. バッハの作品が
たくさんラインナップされていることに
お気付きでしょうか。

彼らは16世紀末から18世紀中頃のバロック時代に
活躍した作曲家です。
アーティスティック・ディレクターの
ルネ・マルタンさんが、
彼らバロック時代の作曲家の作品を
数多くプログラミングしているのは、
実はもっともなことなのです。

というのも、
バロック時代とは、
人間の情緒と音楽との結びつきが
理論的に追求された時代でもあったのです。

人間の喜怒哀楽、
すなわち情緒=アフェクト(ドイツ語)
を音楽によって喚起しようと、
「アフェクテンレーレ(情緒論)」
と呼ばれる理論が誕生しました。

この理論のもとでは、
特定のリズム・音の並び・調性などが、
特定の人間の感情を表現されることになります。

たとえば、「喜び」を音楽で表現するなら長調、
協和音、高い音域、速いテンポが使われ、

逆に「悲しみ」を表すには短調、
不協和音、低い音域、緩やかなテンポが
用いられました。

さらに音楽理論家たちによって、
高い音は「山」や「天」を指し、
半音の音型は「苦しみ」や「悩み」、
休符による中断は「沈黙」や「死」、
音が飛ぶ音型は「過ち」や「罪」を意味する、
などとまとめられています。

このように、
人間の情緒を表す音楽の「型」を意識しながら、
バッハをはじめとするバロック時代の作曲家たちは
作品を書いていました。

昔も今も音楽学者たちによって、
「バッハのこの曲のこの音型は十字架を表しており、
キリストを賛美する喜びを表している」
などといった解読がなされています。

とはいえ、私たちは必ずしも
「このメロディーは『悩み』を意味している」などと
解読するようにバロック音楽を聴く必要はありませんし、

そもそもコンサートで音楽を聴きながら
そんなことをするのは不可能です。

理論的に表現されたアフェクトを、
理論的に受け取るのではなく、
私たちは私たちの感性のなかで、
音楽がダイレクトに訴えかけてくるエネルギーの強さ、
パシオンの輝きを受け取ればよいのです。

バロックの作曲家たちが
理論を駆使してでも表したかった情念に、
まっすぐに心を開くこと
――それによって自分にとっての
パシオンと出会う体験になるのではないでしょうか。

(飯田有抄/音楽ライター)

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