クラシック音楽予習講座・その2

ラ・フォル・ジュルネ・オ。ジャポン2015

◆◇◆3.クラシック音楽予習講座・その2

【予習コラム2:ルネサンス時代の音楽とパシオン】
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前回の予習コラムでは、
今年のテーマである「パシオン」という言葉に注目し、
時代によってその意味に変遷があったことを確認してみました。

では、
音楽とパシオンとの関係について考えてみるとどうでしょうか。
時の流れに沿って、
その結び付き方に変化はあったのでしょうか。
 

音楽はしばしば、言葉にならない感情、強い心の動きを表現するもの、
つまりパシオンを伝えるものと捉えられます。
しかしその表現の仕方、伝え方には、やはり時代によって違いがあると言えるでしょう。
 

西洋では
音楽が人間の情感を表現するものと捉えられるようになったのは、
ルネサンス時代からと言ってもいいでしょう。
それ以前の中世では、
音楽の源流と言えるグレゴリオ聖歌が歌われ、
やがてミサ曲が作られるようになりましたが、
それらは人間の想いや感情を表現するためのものではなく、
神への祈りや賛美の言葉を唱えるためのものでした。

また、中世の大学で音楽は算術、幾何学、天文学とならんで数学的な学問の一つとして捉えられていたのです。
現代の私たちが捉える音楽像とは違いますね。
 

ところが、
人間に光を当てた文化革新であるルネサンスの時代に入ると、
音楽はとりわけ貴族の間で「楽しむため」にも生み出されるようになりました。

そして16世紀のイタリアで歌われるようになった
世俗歌曲のマドリガーレでは、
文学的な詩に活き活きとした音型が付けられるようになります。

たとえば歌詞に「空に上る」という言葉があれば、
メロディーの形も上行する音型が使われるなど、
言葉の意味と音型とが密接に関係付けられるようになったのです。
 

当時、
音と言葉の結びつきをもっとも追求した作曲家の一人が、
イタリアのマントヴァとヴェネツィアで活躍したクラウディオ・モンテヴェルディ(1567-1643)です。

彼が生涯にわたり書き続けたマドリガーレでは、
ギリシャ神話の愛や恋などを描いた歌詞が用いられ、
言葉そのもののもつ抑揚やリズム、
そして意味内容をも強調するような音型が使われています。

その音楽は、
あくまで言葉との連携によって作り出されています。
言葉と無関係に音楽が暴走してしまうようなところはありません。
非常に知的な操作によって生み出されているわけですが、
今日でも聴く者の心に彼の輝かしいセンスが伝わります。 
 

今年の音楽祭では、
イタリアからやってくるラ・ヴェネクシアーナが
たっぷりとモンテヴェルディのマドリガーレを聴かせてくれます。

まるで言葉に命が宿るような、
エネルギッシュで洗練された彼らの演奏で、
ルネサンス期の「パシオン」をたっぷり感じてみてくださいね。

(飯田有抄/音楽ライター)

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